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「みぃちゃんは心配してくれてるんだよ」
「あぁ、分かってる」
俺はお袋の言葉を背中に受けながら、病室の窓から外を眺めていた。
「……、好きなのかい?」
「誰を……」
「誰をって……、みぃちゃん」
「あはは、まさか、あんな可愛げのないヤツ、それに彼氏居るみたいやしな」
「……、みぃちゃんに彼氏は居ないよ」
「……」
俺は外を眺めながら苦笑いをしていた。
未だに素直になれないで、可愛げのないのは俺の方だと、自分で笑うしか無かった。
「みぃちゃんは良い子だよ」
「……、そうかな」
「あんなに気の利く優しい子はそうそういないよ、美人だしね」
「……、口は悪い」
俺は外を眺めながら、あの日必死で書いた手紙を思い出していた。
書き直してはゴミ箱へ捨てた丸めた便箋……。
書き直し過ぎて便箋が底をついたから、みぃに渡す事は無かったんだ。
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