あの頃

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. 「おい、キャベツ」 「うっせぇ」  小学三年の春だった。  キャベツというアダ名がついたのは……。  川上村は高原野菜の栽培が盛んな村で、戦後特にキャベツの栽培が急成長したのだと親父が良く言っていた。  しかし洋食ブームの到来で外食産業が急成長するのと比例して、レタスの需要が増え、いつしかキャベツの生産は少なくなっていったんだ。  今ではレタス生産高全国トップを走る村になり、至る所にレタス御殿が立ち並び、村は活気に溢れていた。  そんな中、俺の家はキャベツ栽培を続けていたんだ。 .
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