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息苦しい部屋だったものだから、廊下の空気が軽やかな心地さえした。 しかしながら、気分は少しも変わらない。 そういえば、気安く引き受けちゃったけど。 モモは一体どこに居るのだろう。 それを訊ねるだけの理由で儀式直前の部屋に引き返す事も出来ず、磨白はまたガックリと肩を落として広い洋館を彷徨う。 天気が悪いせいで、洋館の中はいつも以上に暗い。 どの扉もどの曲がり角もまるで同じように見えて、子犬のような青年が迷える子羊と化すまでにそう時間は掛からなかった。 ひとまず自分の部屋に戻りたい。と、方向音痴な脳裏を検索しても、洋館の地図や現在地など引っ掛かるはずもない。 確信の無い部屋の扉を勝手に開ける勇気も持ち合わせていない。
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