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三成と家康は、豊臣秀吉の居城である大阪城の一室に呼び出されていた。
正座で姿勢良く座する二人の前には、一人の男が座っている。
紫の羽織を肩にかけ、ふわりと二人に笑いかける男。
三成に負けず劣らずの白い肌と細い体を持ち、今にも消えてしまいそうな儚げな雰囲気を醸し出している。
だがその鋭い瞳は、決して消えまいと強い意志を宿していた。
彼の名は、竹中半兵衛。
豊臣という大勢力を纏め、幾度も勝利に導いてきた二人の軍師のうちの一人である。
因みにもう一人は、野心を剥き出しにし過ぎたために遠く九州で穴掘りをやらされていたりする。
まあ彼のことは後々会った時にでも詳しく紹介するとして、今は割愛させて頂こう。
「何故じゃあぁぁぁぁ!!」という絶叫が聞こえてきたとしても、それはきっと幻聴だ。
あまり気に留めないでおいて欲しい。
さて、話を元に戻すとしよう。
二人はその日の朝早くから半兵衛に呼び出され、彼の私室へ赴いたところだった。
目を輝かせながら半兵衛の言葉を待つ三成と、まだ眠いのか必死に欠伸を噛み殺している家康。
その温度差に苦笑しながら、半兵衛は口を開いた。
「よく来てくれたね、二人共。朝早くに呼び立ててすまない」
「いえ! 半兵衛様の御呼びだしなら、例え深夜だろうと早急に駆け付けます!」
「幾ら何でも真夜中に呼び出したりしないと思うぞ、三成」
家康が口を挟む。
刀に手をかけようとしている三成を、半兵衛がまぁまぁと宥めてから、
「二人に頼みたい事があるんだ」
と切り出した。
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