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普段あまり眠らないつけが、今回ってきたのかもしれない。
抗いがたい眠気に、三成は仕方なく身を委ねることにした。
少しだけだ、刑部にこんなところ見られたら笑われるに決まっているから。
三成はそう思いながら、重くなった瞼ゆっくりと下ろした。
「ヤレ、こんなところに大きな童が」
用事を済ませて部屋に戻ってきた吉継は、飛び込んできた光景にくつくつと喉をならして笑った。
三成は平時であればこんな笑い声でも飛び起きそうなものだか、余程深く眠っているらしく目を覚ます様子はない。
数珠を使って布団を肩の上まで持ち上げてやりながら、吉継は目を細める。
あれだけ眠れと言っても首を縦に振らなかった三成を、こうも簡単に落とすとは。
そう、感心せずには居られなかった。
この少年は、思いの外三成に良い影響を与えてくれるかも知れない。
吉継はそう思いつつ、部屋を後にして自分に宛がわれている部屋へ向かった。
あれだけぐっすりと眠っているなら、朝まで起きることはないだろう。
廊下をするすると進みながら、だが、と吉継は思う。
あの少年についてまだ何もわからない今、そうと断言は出来ない。
今までにない大きな不幸を、豊臣に──ひいては三成にもたらすことも多いに有りうる。
そうなったとき、自分はどうするのか。
「今思案しても、どうこうできるものでもないがなァ……」
呟き、吉継は窓から見える空を見上げる。
空恐ろしいほど、星と月が美しかった。

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