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「もも。」
彼の言葉が私を包み、彼の温かさが私を救う。
彼に優しく抱き締められると、心は彼の温もりを強く強く求めた。
腕を回し彼の胸に顔を預け、重く錆びていた心の鎖を外した。
不安であっても、怖いという想いがあっても、今こうして彼と一緒に居れるのなら、もうどうでもいい。
こんな私でも、貴方は好きと言ってくれたから。
だから、少しだけ甘えてもいいかな?
私なんかでも、幸せを感じても良いかな?
「好きだ。絶対に、守るから。どんな事があっても。」
片方の耳で彼の声をもう1つの耳で彼の鼓動を聞いた。
頭では、自分が居ることで彼に迷惑がかかると分かっている。
だけど、心が彼から離れようとはしなかった。
人を愛して苦しんだ事だってある。
それでも、苦しみよりも誰かを愛する幸せを感じられた方が大きかった。
今は、この人と一緒に居たい。
その想いしか、私の心には無い。
いつぶりだろう。
いつからだろう。
誰かをこんなに愛し、求め、触れたいと思ったのは。
好きです。本当に貴方の事を。
心の中で、何回もその言葉を呟きながら私は彼の胸の中で意識を手放した。
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