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「そうか……それであの子は別れる時に頭を下げたんだね」
花山さんが湯飲みに入った緑茶をちびちびと飲む。花山さんはこうみえて猫舌なのだ。あれから2時間後、花山さんと菫は食堂で話し合っている。葵は既に家に帰ったので食堂に居るのは2人だけだ。
彼……朝賀涼太は菫の話を聞いた後、葵が呼んだ警備員によって警察へと引き渡された。大学の入り口に置いてあったパトカーへ乗り込む時、涼太は見送りに来ていた菫と花山さんに頭を下げた。
「もう大丈夫です。彼の罪は脱法ハーブの所持だけですし、全てを話したことで警察の方も脱法ハーブの蔓延を防ぐことが出来ましたから」
涼太は脱法ハーブを売りさばいてはいなかったらしく、家に全て保管していたそうだ。そして、脱法ハーブの入手先であった暴力団のことを警察に話し、暴力団が脱法ハーブを管理していた場所を全て明かした。それにより直ぐに暴力団の組員は逮捕され、脱法ハーブを確保することが出来たのだ。警察は涼太の罪を出来るだけ軽くしたいと考えている。
「流石、菫ちゃんだね。悪人を説き伏せてしまうなんてあたしには無理だよ」
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