平家物語

17/37
前へ
/49ページ
次へ
花山さんが対処した子たちも真面目に仕事をするらしい。彼らは涼太に脅されていた訳でもなく、単に楽しそうだったからというのが理由なのだとか。涼太も彼らのことは警察に話していないそうだ。 「昔の花山さんなら一発殴ってたのでしょうけど。でも、ちゃんとやれてるじゃないですか」 花山さんは昔を思い出すように天井を眺める。あの時、菫と会わなければ花山さんの人生は大きく変わっていただろう。今の花山さんにはその未来が恐ろしくて仕方がない。 「まさか、自分がこんな風に生きられるなんて思ってもみなかったよ」 花山さん……花山美千留はとある暴力団の元リーダーであったのだ。その名を聞けば一般人は恐れ、警察はやられるかもしれない恐怖を味わう……といった噂も流れていた強力な暴力団だ。リーダーの美千留の姿を見れば団員は頭を下げ、警察は逃げていく。美千留は完全に悪に染まっていた。 6年前に道端で菫に会ってから、美千留の人生はだんだん変わっていった。今はその暴力団はない。美千留が解散を命じたからだ。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加