平家物語

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……暴力団「蒼の剣」。リーダーである花山美千留を筆頭とする関東一の暴力団だ。仲間を大事にし、無用な争いを嫌う…どちらかといえば平和主義の暴力団である。 ただし、争いが始まれば彼らを止めることは出来ない。彼らは仲間を守るために戦うからだ。 6年前のある日……その日は曇り空で彼らは対抗している「朱の華」との戦いに勝利し、堂々と道を歩いていた。全員が真っ青な特効服を着て歩くのだから、寄って来る者など居ない。ただ一人を除いては。 美千留の前に黒いこうもり傘を広げた少女が現れた。こうもり傘が大きく、はっきりと顔は見えないが美千留の暴力団に入るような子ではない。 「そこを退きな、ちび」 団員の一人が威圧する。少女はくるくるとこうもり傘を回す。雨は降っていない。よほどこうもり傘が好きなのだろう。 「ちびじゃないもん。菫だもん。折角忠告してあげようと思ったのに…やーめた」 くるりと少女は背中を向けると立ち去ろうとする。団員が少女に近づこうとするのを美千留は止めた。
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