平家物語

19/37
前へ
/49ページ
次へ
「嬢ちゃん、忠告って言ったね。どういう意味だい?」 少女が立ち止まる。くるくるとこうもり傘を回しながら、空を見上げる。すると天気予報では言っていなかった雨がぽつりぽつりと降り出した。 「赤い花に大切な宝を奪われて、剣は命を落とす。それが忠告だよ」 少女が言ったことを美千留は理解出来なかった。そもそも赤い花に大切な宝を奪われて……。あれ、赤い花に? 「まさか……朱の華がっ!?」 少女が言ったこと、それは…朱の華が大切な宝、つまり仲間を奪って美千留を殺そうとしているから気を付けろ、だった。団員たちも流石に動揺しているようだ。雨は本格的に降り出し、美千留たちを濡らしていく。 「それから、もうひとつ。一人で行動しないように」 そう言って少女はまた歩き出す。雨が強く降り、少女の姿は直ぐに見えなくなった。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加