平家物語

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菫という謎の少女に会ってから一週間が経った頃……蒼の剣のアジトであるとある倉庫に手紙が届けられた。差出人は朱の華。美千留が手紙を開けて読む。 内容は少女の忠告通り。団員の一人を捕らえている。団員を取り戻したければリーダー一人で来い。明らかに美千留を挑発した内容だ。 「あたしは朱の華のとこに行ってくる。後は頼むよ」 団員が歓喜の声を上げる。美千留はこの蒼の剣で最強と言われているからこそだろう。美千留は負けない。必ず朱の華から仲間を取り戻してくる。そう信じているのだ。 ただ、菫の忠告通りになるなら……美千留は死ぬ。バイクに乗り込んだ美千留を死の恐怖が背後から襲いかかる。恐怖を断ち切るようにエンジンをかけ、心地好い震動が美千留を落ち着かせていく。 青くペイントされたバイクは雨の中を鮮やかに走り抜けた。
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