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だが、美千留は死ななかった。雨の中に響いた一発の銃声で朱の華の団員は固まったのだ。美千留のぼやける視線にうつる黒いこうもり傘をさした少女は菫だった。朱の華のリーダーから優越感は消え失せ、さっと顔色が青くなる。
「そこまでだ、朱の華さんよ。逮捕する十分な材料は揃ってるし、抵抗するな」
黒いこうもり傘の後ろから現れたのは灰色のスーツを着た細身の男性。その手に握られている警察手帳が男性の職業を物語っている。
「てめぇは……津川!!」
リーダーが叫ぶ。津川と呼ばれた警察は警察手帳をしまい、拳銃をリーダーに向ける。
「気安く呼ぶな、ブス。俺の名を呼んで良いのは菫ちゃんだけだ」
津川の言葉にその場の全員が唖然とする。強面の男性が隣に立つ菫には優しく話しかけるのが、あまりにも不自然だった。
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