平家物語

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菫はスタイルが良いと言われる部類に入るらしい。同じ学科の女子が羨ましそうに見ていたり、男子が時おり顔を赤らめたりするのだから、きっとそうなんだろう。 しばらく学内を歩くと、菫は食堂にたどり着いた。食堂は広々としており、窓が大きいためか、とても明るい。ただ、今日はあまり生徒が居ないようでとても静かだ。 「あら、菫ちゃん。今日は何にする?」 食堂に勤務している花山さんがメニューを見ていた菫に話しかける。花山さんは昔からこの食堂で働いていて、作る料理は家庭的で美味しい。 よく食堂に来る菫に親しみのある声で話しかけてくれる唯一の人でもあった。 「うーん………親子丼にするわ」 悩んだ末に花山さん一押しの親子丼を頼むことにした。 「はいはい。それじゃあ420円ね」 菫は420円を花山さんに渡し、お気に入りの席へ向かう。
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