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松葉はそんな菫を鼻で笑う。松葉は裾から扇を取り出し、口元を隠す。その口元は笑いで歪んでいるのだろう、と菫は思った。
「小夜、後は頼みましたよ。私は今夜行われるパーティーの準備をしなければいけませんからね」
「はい、奥様」
松葉の影から現れた一人の女性は黒い高級そうな箱を抱えていた。松葉は満足そうに部屋から去っていく。
「菫お嬢様、直ぐに支度を。もうすぐお客様がいらっしゃいます。表向きには奥様の誕生パーティーですが、裏は菫お嬢様の婚約者を探すために行われますので」
小夜は箱をテーブルに置くとそのまま頭を下げ、静かに部屋を去った。少なくとも人見知りの菫に気を使っているらしい。菫は小夜の行動に少し感謝すると箱を開けた。中には菫のカバンと元の服。そして服の裏に小さく折られた手紙が入っていた。
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