駄洒落こんぴゅーた

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 社長の原井泰三は椅子にふんぞり返りながらタバコをふかしていた。決してヘビースモーカーではないが、一仕事を終えて更に上手くいった時なので、せめてもの格好つけという理由もあり、こうして独りプカプカと煙を吐いている。  彼の座る椅子の前には、昨年に購入した市販されているノート型パソコンがあった。外見はそのままで、OSも変えていない。せめて目立つならマイクが内臓されていることだろう。しかし、このパソコンは他のものと比べて大きく違う所が存在した。  通常、パソコンを使用し続けると、だんだんとCPUつまり中央処理装置に熱がこもっていく。そのまま使用しているとCPU自体が故障したり、運悪ければ発火する恐れもあるかもしれない。それを予防するために、通常のパソコンにはそのCPUなどを冷やすために色々な冷却方法及び装置が搭載されている。水冷式もあれば、ファンが回転してその風を送って冷やすという空冷式というものもある。これらが主な冷却方法だが、泰三は自身の独学の技術で、全く新しい冷却方法をこのパソコンに仕組んだのだった。 「ふぅ……これは画期的なはずだ」  泰三は椅子から身を起こし、パソコンの本体の側面を撫でた。二つのUSBポートにはそれぞれコードが差し込まれており、一つはマウス、一つは小型のマイクだった。そして泰三はそのマイクへと彼の口を近づけて、一つ「……布団がふっとんだ」と呟いた。  すると、パソコンのディスプレイに「冷却が完了しました。24時間以内に再び冷却して下さい」と表示された。泰三はほほぅと喜び、再び椅子の背もたれに寄りかかった。
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