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「…なぁ翔、お前って動物園の飼育係なんだよな?」
「キメラ研究員だって」
「お前が飼ってる猫って確か座敷猫だった筈だが」
「…Comaか、」
翔の顔が少し不機嫌めに歪む。
「Comaがどうした?何か粗相でも…」
「いやな、粗相っつーか…」
と、またちょんと俺の脚をつつく何か。
俺はニヤッと笑い、それを思い切り踏んづけてやった。
「ぎゃぁ!!!」
"ガッシャン!!!"
派手な音を立ててテーブルの下で悪戯していたソイツが飛び上がり、頭をぶつけて転がり出た。途端、翔が酷く驚いて大声を上げる。
「こ…Comaお前!!」
頭を抱えたまま転がっているComa。翔のみならず俺とゲイトも酷く驚き、暫く言葉を無くした。…まぁ俺が驚いたのはComaのリアクションに対してだったんだが。
「…すげぇなComa、」
呆然としている二人を後目に、口を開いたのは俺。その声に反応し、漸くComaは頭を上げた。
「お前気配全然しなかったぞ!!」
「だ…だからって思いっ切り手ぇ踏まなくても良いじゃないからに!!」
「嗚呼悪りい悪りい、意地悪したくなってよ」
「…こぉぉまぁぁぁ!!!」
Comaが口を開く間も無く、おどろおどろしいオーラと声。あのComaが毛を逆立てて耳を寝かせ、ビクンと体を硬直させた。
視線の先は、ツノを生やした翔の姿だ。…流石元ヤン。怖い。
「ちょちょちょ…あの ぱぱ あの…さ」
「問答無用!!大体何で何時も何時もそうやって俺の言う事聞かねぇんだよ!!
お前は頭が良いんだからお前のせいで情報漏洩して研究所どころか軍の危機になる事位分かんだろうが、そうなればお前だって」
「まぁまぁまぁ落ち着けよ翔、島は出てないじゃないか」
「お前甘やかしすぎなんだよゼロ!!」
隅っこで縮こまったComaの頭を撫でれば、Comaはぷるぷる震えながら俺の脚にしがみついた。コイツ、俺の猫好きを逆手に取ってやがる…と分かっていながら、やっぱり可愛くてついかばってしまう。
それに対し、今まで沈黙していたゲイトが笑いながら、ぽつり呟いた。
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