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「…………………やっちまった」
体育館に少年の声が響く。
金髪の少年は手で顔を覆い、
「人がいなくなるの待ってたら、爆睡ってね」
適当に呟いた少年は眠気を誤魔化すように頬を叩き、横に置いていた旅行鞄を掴み、クラスを確認しにいく。
壁に張られていた紙には少年の名が刻まれていた。
―――朝霧恭介。
肝心のクラスはというと、
「俺は一組か」
クラスは確認できた。
遅刻するかもしれないが、行かないよりはマシだろう。
そう考えて移動を開始した。
全速力で走りまくった。
ちなみに体育館まではいきなり壁に叩きつけてきた女教師の案内で辿り着いた。
体育館に教室はない。
別の建物が校舎ということだ。
つまり、
「クソッ! 一年一組どこだ!?」
地図もなしに校舎を探すことは不可能に近かった。
なぜなら寮を見つけることすらできないのだから。
つまり。
また迷ってしまった。
「こいつはヤバい。入学初日からサボりはヤバい」
学校に来てたとしても教室にいなければ、サボりと同じ。
このまま、教室に辿り着けなければ結果的にサボりとなる。
現在位置はなんらかの施設の屋上。
さて。
どうする?
「もういいや。サボろう」
諦めた。
無駄な努力するくらいなら、寝たほうがマシ。
そう考えて寝転がる朝霧。
脇にかかえていた旅行鞄を枕に寝ようとするが、
「あれ? 私のサボり場に人がいる」
声が聞こえた。
どこかで聞いた声だった。
気の抜けた声。
やる気というものがこれっぽっちも感じられない声。
そう、この声は―――
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