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「おっ、こりゃビックリ。恭介じゃん」
少年の名が呼ばれた。
朝霧は怠そうに体を起こし声のしたほうを見る。
そこにいたのは学校指定の紺色のブレザーを靡かせる、ふわっとした銀髪の少女だった。
かりんとうを口にくわえた、どこか危なっかしい印象を受けるこの少女の名は―――
「蛍じゃねえか。久しぶりだな」
小手川蛍。
朝霧の一個上の少女。
学年が一個違うというのに、小学生の頃は昼休みや放課後によく遊ぶほどの仲だった。
しかし。
小手川の小学校卒業と同時に親の都合で離ればなれになっていた。
それからは『一方的』な手紙のやり取りが続いていた。
小手川の住所が書かれていない手紙。
今まで送られてきた手紙がすべて旅行鞄の奥底に入っていることは知られないようにしよう。
そう決意した朝霧は改めて小手川を見つめてみる。
小学生までの彼女しか知らなかったからか、変化した箇所が目に止まる。
いろいろと成長していたのだ。
例えば、女と男の明確な違いが現れる箇所。
もっといえば、服を盛り上げている―――
「胸に視線が固定されてるよね?」
「い、いや、違うって! こりゃ、あれだ………………そう、友達の成長に感動してだな……………」
「うん。わかってるよ」
そう笑顔で言う小手川。ほっと一息つく間もなかった。
次の瞬間。小手川の右腕を純白の光が覆い。
腕を包み込んだ状態で固定。
そして、閃光と共に弾け飛ぶ。
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