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「ごめん、大丈夫だから座ってて」 「ううん、ほら見て。私もこんな」  僕の方に差し出された彼女の両の掌は汗ばみ、少し震えている……?  駆けていく彼女。また後ろ姿を見つめるだけの僕。  初めて想いを伝えた時からそうだった。僕は彼女の後ろを追いかけるだけ。  年下のしかも社会人なりたての男が頼りないのだろうと、僕なりに努力したつもりだ。  時々寂しそうな、疲れているような表情をする彼女を、包み込みたい、一緒に笑っていたい。  彼女の気持ちは僕に寄り添っているはず。  それでも、違和感が膨れ上がってしまったのは何故だった?  デートの度に鳴る携帯電話。急用で呼び出されることってそんなにある?  彼女にとっての恋愛って、僕ってなんだろう。……ただ僕より大事な人がいるのか。こんなことを考えること事態が子供染みてるとは解ってるけど。  負のスパイラルから抜け出せない……。
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