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「どうしよう?」
「お前の部屋だ。
お前の好きにするがいい」
「でもいいのかな?」
にやけた顔をしている。
思わず彼の幸せが移って、苦笑してしまうような笑顔だった。
「もう決まってるんだろう?」
拳で胸を叩いてやると頼もしい感触が返ってきた。
彼にとって意中のイゼが一緒に暮らしたいと言っているのだから正直な反応だと思う。
ロットは振り返ってまだ膝まづいたままのイゼを見下ろし、確認するようにぼそぼそと何か呟いてから咳払いをした。
「狭いし色々不便だぞ?」
「構いません」
「飯だってたいしたもん食わせてやれねえぞ?」
「私は小食です」
「俺の言うこと聞くか?」
「部屋の主はあなたです。
出来る限り希望に沿うように致します」
またロットがこちらを向いた。
「どうしよう、俺幸せだ」
本気で嬉しそうにしている。
幸せなのにどうしようもくそもない。
そのまま身を任せればいい。
「よかったな」
少し呆れて答えてやる。
現時点では亭主関白に見えるが近いうちに尻に敷かれると見て間違いなかった。
「よし! じゃあ帰るかっ」
すっかり舞い上がったロットは実際に飛び上がりながら先を歩き出した。
おかしな歌まで歌っている。
「様子がおかしい。
どうしたんでしょう? やはり無理を言ってしまったんでしょうか」
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