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女の子にとってそれは自然なことだったらしく、簡単に頷かれた。
だがそれが簡単でないことはわかっていた。
何か特別なことをしたかった。
女の子との関係をより深めたかったのかもしれない。
それで後になってみれば馬鹿なことをしてしまった。
成体に見つかるのは気がひける。
気配が近づいてきたので木の枝に飛び乗って姿を隠した。
女の子は急にいなくなったので驚いたようだが、それよりも親の方が優先したようですぐに走っていってしまった。
その時胸の奥がちくりと痛んだのを憶えている。
もう十何年も前の話だが、それからずっと気にかかっている。
あの日あの時あげた、一生一度の誓いはなんなのか。
他世界を侵略する。
そのことに反発したわけじゃない。
暴虐な黒が目障りだからというわけでもない。
ただその対象が地球だということが許せなかった。
物心ついた時から抱えているこの胸のモヤモヤが晴らせなくなることが嫌だった。
過去、己が何をしたのか。
一体なにを誓ったのか確かめる。
そう決意してからもう半年が経つ。
それでも眠る度に見るこの夢は変わらなかった。
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