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なんとしても陪審員に選ばれたかった。
選考委員の方でもそのことはわかっていたようで上司から内示を受けた時には飛び上がって喜んだ。
父のように立派に任務を果たせ。
上司も背中を押してくれた。
高揚する気持ちを抑えきれず浮き足立ちながら出発前の研修を受けた。
その時になってようやく白族からは末の王子が代表となっていることを知った。
なぜ王族がこんな危険な任務をと聞くと当の本人は曖昧に微笑んで何も答えなかった。
わかっていたが、黄族とは馬が合わなかった。
二言目には規則規則と口やかましく個人の意思が感じられない。
自分はどう思っているんだか。
青族は辺り障りのなさそうな奴が選ばれていた。
もっとも青族はたいていそういう性格だ。
卑屈な態度を見ていると少しこづいて実力を確かめたくもなってくるが、どうせ大したことないに違いない。
黒族にはなるほどと唸ってしまった。
抱いていた黒族のイメージとぴったり一致し、なにかにつけて鼻につく挑戦的な態度を見る度殴りかかりたい衝動を抑えるのに苦労した。
研修が終了する頃には異世界をしっかり理解していた。
白族代表以外は皆優秀だった。
研修は多岐に渡り内容も深くおかげで実際異世界に行っても途惑うことは少なかった。
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