23人が本棚に入れています
本棚に追加
彼は明けることのない任務を負って地球で過ごしている。
この世界の実情を把握し、人間が次元の歪みに気付くなど鬼界に危険が及ぶと予想される事態に備え人間社会に溶け込み監視する。
その為に各国一名ずつ十数年前に派遣されたメンバーの一人だ。
王宮で教育係をしていた頃とはかなり印象が変わり、再会した時は目を疑った。
乱れたことのなかったオールバックは伸ばし放題で着ているものもなんだか冴えない色をしている。
どんな暮らしをしているのかと心配になったがどうやらこちらでは平均よりも裕福なようだ。
「でも王子。
こっちに来てずっと食っちゃ寝食っちゃ寝じゃないですか。
もう半年も何もしてないんですよ?」
耳が痛い。
明るすぎることを除けばここは居心地が良すぎるくらいだった。
全面的にシャスカを頼った生活も不自由はない。
「だから王子はやめろ。
呼び捨てを許すと何度も言っているだろう。
それに陪審員には会った。
意見も聞いた」
自分と同じ使命を受け地球にやって来た他国の鬼達。
半年間で二名に会った。
赤国と青国の代表だ。
最初のコメントを投稿しよう!