プロローグ

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 そこは宇宙ではなく粘質の闇に囲まれた世界。 薄暗く硬い大地に覆われたその世界は大きな変化を迎えつつあった。 それぞれ赤、青、黄、白、黒と呼ばれる五つの国家は家族のように親しくしてきたわけではない。 仲間のように笑い合ってきたわけではない。 同僚のように肩を並べてきたわけではない。 学友のように同じものを目指してきたわけではない。  常に争いが絶えなかった。 あちらがやめば今度はこちらで。 そこには常に黒国が関わっていた。 時には前線に立ち、時には支援者として。 どんなに他国の民が疲弊し戦争に疲れていても黒の民は止まらなかった。 最強の国力を活かし、絶え間なく争い争わせた。  ある日他の四ヶ国は提案した。 全てが互いに友好国というわけではなかったが、それでも結託して進言した。 争いはもうやめようと。  それは至極当然の想いで、弱気な考えだったとしても数の上で圧倒していることから黒国は受け入れざるを得ないと楽観されていた。 しかし黒は頷かなかった。
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