* 白 * 約束は?

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(余は……恵まれた方なのか)  心身ともに健康で自堕落にいられるのもシャスカが生活の全てをサポートし、充分なコミュニケーションも請け負ってくれているからだ。 「家出か、余にも覚えがあるな」 「あなたの場合は家出というより世界を出たでしょう」  また耳が痛い。 意識して口の端で笑ってから話題を変える。 「つまるところお前はこう言いたいのか。 ミースが行方不明なのは家出ではなく、黒の仕業だと?」  半分冗談のつもりが核心に触れたらしくロットは一度丸くした瞳に力を入れて説明した。 「それが戦争への近道です。 各国の不安をあおって疑心を抱かせる。 休戦条約を破る口実が欲しいのだけ。 奴らがまじめに陪審員をやるなんてどうしても思えない」 「しかし研修の成績は黒が下位を大きく引き離して一番だったではないか。 まじめに取り組む意欲のある証拠ではないか?」 「サボった奴が言っても皮肉にはなりません」  こちらへ来る前に地球における言語や常識など必要な知識を学ぶ学習期間が設けられていた。 しかし地球は前に行ったことがあると強引に回避したため、当初苦労する羽目になった。 前回は深く知らなかった上に地球もかなり変化しているせいだ。 「馬鹿者。 余が権力を傘に着れば例え白紙の答案でも満点は確実というものだ」
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