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「自慢にならねー」
ロットが苦笑する。
これが宮中なら投獄されるような喋り方だが、この方が肩が凝らずに済む。
宮中式というのはどうも性に合わない。
「とにかく、黒は不穏だ。
人間に害が認められないとしてもこの世界で問題を起こし濡れ衣を着せるつもりだ!」
ロットが話を元に戻して語気を荒げる。
少々面食らったが、どうにか平静は保てた。
「少々短絡的で子供染みてはいないか? 強引過ぎる推論だ」
「ならいつ黒が思慮深く周到だったって言うんだ?」
「……それはそうか」
反論する材料を失ってしまった。
ロットはすっかり興奮している。
赤族は極めて激しやすい。
戦争のきっかけを求めているのは彼らも同じだ。
黒は些細な事でも戦争の火種にする。
個人的ないさかいから戦争に発展した事も一度ではない。
奇妙な連帯を持った国だ。
「結論を急いで下さい。
今度狙われるのは、あなたかもしれませんから」
唐突に落ち着いた口調になったロットが呟いた。
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