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否、それは掟ではない。
誰もそんなことを決めてはいないからだ。
そうすることに理由などなかった。
メリットなど必要なかった。
単純、逆の立場に立ちたくなかったからだ。
ただでさえ問題渦巻く世界で、他所から干渉されたくなかった。
その余裕もなかった。
だからどこにも積極的には干渉してこなかった。
黒はそれを覆すと宣言した。
幸い地球に関して言えば原生生物の感覚器で次元の歪みは捉えられない。
とは言え、こちらから派手なアクションを起こせばその限りではなくなるかもしれない。
異世界の知的生物を徹底的に根絶やしにする。
それが黒の決定だ。
「そう責めてくれるな……なにもむざむざ地球を贄に差し出したわけではない。
救う道はある。
地球の、人間を滅ぼすべきでないと黒を納得させてしまえばいい。
彼らの生きている意味、彼らと戦うことの危険性、勝つことの無意味さ、彼らを失うことの愚かさを証明するんだ」
「それなら、シャスカ――十数年前派遣された偵察員が既に結論を得ているのでは?」
「長年地球で暮らしている偵察員では、人間に対して欲目が働くというのは想像に難くない。
新たに各国一名ずつ派遣し、厳正な調査を行ってもらい、派遣者間の話し合いにより決定する。
言わば陪審員だ。
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