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各国同意済みだが赤国と黄国は既に反対という結論をもって望むそうだ。
我が白国は派遣する陪審員に任せる。
陪審員については……お前を出そうと思う。
無理にとは言わないが」
一瞬。
若い鬼は言葉を失った。
いかにして候補者を罵倒して自分を推すかばかり考えていたからだ。
まさか第一に指名されるとは思っていなかった。
「ありがとうございます!」
膝まづき、王であると同時に彼の父でもある年老いた鬼に頭を下げる。
これほどにありがたい事など他になかった。
「お前は地球に縁があることは知っている。
行って、確かめて来るがいい」
「はい! では早速支度にかかります!」
「シャスカを訪ねよ。
どんな暮らしをしているかは知らねどお前の顔を見れば励みになるだろう。
必要なことを習うといい」
「もちろん! 会うのが楽しみです!」
王と謁見している。
そういった意識は消え無邪気にはしゃぎながら部屋を飛び出して行った。
王は息子が去ると扉から再び窓へと体の向きを変え、外を眺めた。
生活の煙が昇るこの景色が失われることだけは避けなければならない。
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