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-ピンポーン-
チャイムをならす。
いるよね?…ゆう。
-ガチャ-
「………っ!?」
「ゆう、なんで電話出ないの?」
ひどく驚いたようにゆうの顔が歪んだ。
顔色も悪いし体調でも悪いのかな?
「…は、ると…っ」
「どうしたの?具合悪い?」
スッ
ゆうの声はいつもより低く細くて。
やっぱり熱でもあるのかと思い、ゆうのおでこに手を伸ばす。
バチンッ
「!」
「あ…っ、」
手を叩(はた)かれた。
ヒリヒリと手が痛む。
だけどそれより、心の方が痛かった。
「……ゆう、何?なんで手払うの?なんでそんな怯えた顔するの?」
「あ、…はると…、あ…あの…っ、」
おろおろとゆうが挙動不審になる。
目には涙がたまって今にも零れ落ちそうだった。
そしていきなりゆうは家の中へ逃げようとしたため慌てて腕を掴んだ。
ぐっ
「ゆう!どこ行くの!!」
「!?」
ざらざらとしたゆうの腕。
驚いて見るとそこにはたくさんの赤く細長い傷があった。
「…なにこれ、リスカ?」
「う、あ…っ」
ゆうは再び挙動不審になると、僕の手を振り払い走った。
「あ、ゆう!!」
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