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「待ってコウ!僕、コウがいないと駄目なんだ!!…ごめんっ…ごめんっ…もうしない、から…っ、」
春斗が泣き叫んだ。
『コウ』と呼ばれた男が泣きながら春斗を強く抱き締めた。
俺は呆然としていた。
こんな春斗は初めて見たから。
俺との別れ話の時だって春斗はいつも顔色ひとつ変えなかったのに。
…どこかでまだ信じてたんだ。
春斗はどれだけ浮気したって最後には俺を選んでくれるって。
だから自分が浮気相手だなんて考えたこともなかった。
そっか…。
春斗は『コウ』を愛してて、俺のことはただの遊びだったんだ。
「馬鹿だなあ、俺。」
もっと早く気づけばよかった。
こんなに春斗を好きになってしまう前に。
「…帰ろ。」
頭が真っ白のまま涙も出ない。
そのまま家へと来た道を戻る。
家に着くと靴を脱ぐことさえしずにベッドに横たわった。
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