いじわる王子の甘い罠

１

「それ、ただの噂でしょ？
もし、本当だとしても、単に興味がないだけでしょ？
私にだって名前に食いついてるだけだし」

きっと「わかこ」何て名前の子がいたら「バカ子」とか言ってからかうよーな、小学生並の頭なんだよ。

「えー…わざわざ真帆に教科書借りに来て、お礼にってメロンパン買って来るのに？」

「他に貸してくれる人がいないんでしょ？」

「イヤイヤ…長沼くん、友達多いから、そんな事無いよ」

工藤くんは友達だが、貸さないって言ってたけどね。

「じゃあ、『アホ子』ってからかいたいだけだよ。

もー、今度言ったら一生口きかないっ！」

息巻いて宣言すれば千春が溜息混じりに

「本当、いいコンビだよね」

と呟いた。

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