いじわる王子の甘い罠

１

一気にやる気が失せて、重くなった体を引きずって図書室へ。

５時まで長沼と当番……。

まぁ、少ないだろうけど、図書室を利用する人もいるだろうし、ちょっとの辛抱。

と、思っていたのだけど、今日は見事に、誰も来ない……。

「あー…もう、今日は閉めちゃっていいんじゃない？」

本の整理も、貸出カードの整理も、やるべき事は全てやり終えたのに、まだまだ時間がある。

仕方がないから、宿題を出してきて取り掛かる。

「あ、長沼、暇だし先帰っていいよ。
もう、誰も来ないと思うし、一人居れば充分でしょ？」

ノートに目を向けたまま、目の端に暇そうな長沼が見えて、声をかけた。