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「おーい、アホ子ー」
今日も人を『アホ』呼ばわりする長沼。
何か、今までみたいに、怒鳴る事も、長沼を見る事も出来ずに、下を向いたまま、読書をしているフリをした。
いや、長沼が呼ぶ前から、今日 千春に借りた文庫本を読んでいたのだから、フリってわけでもないけど……。
「豊崎、樹 呼んでるよ」
見向きもせずにいたせいか、工藤くんが腕を突いて教えてくれる。
「んー？今、ちょっと…無理。何の用か聞いといて」
仕方なく、本から目が離せない風を装って応える。
「えー…。
樹、豊崎が無理って。」
「は？無理って何？」
若干、怖い口調。
つーか工藤くん、もっと言い方あるでしょう？
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