いじわる王子の甘い罠

１

「あー…次、俺か…えっと、長沼 樹です。

よろしく、アホちゃん」

最後は私に向かって言ったらしいが、おもいっきりシカトした。

誰がよろしくするかバカっ！

それから長沼は、私を見かける度に人を『アホ』呼ばわりして来て、今では『アホ子』なんて、あだ名までつけやがった。

『おー、アホ子』
『私は真帆だって言ってるでしょ？！
このバカ沼っ。』

こうして『アホ子』と『バカ沼』と呼び合う仲になり、いつしか『二人は仲がいい』んだと勘違いされる始末。

だけど、何かっていうと、私を頼って来る長沼を邪険にする事も出来ない私は、ただのお人よし。