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何かが追い掛けてくる。
それが何なのか俺や俺の彼女である高橋 優梨(たかはし ゆり)にも解らない。
明らかに人間じゃない事は分かる。
例えで言うとどこぞのファンタジーやSFに出てくる怪物と言った所だろう。
怪物の存在はファンタジーやSFには通用するだろうがこの現実の世界には存在するのだろうか?
だが現実に今は俺達は人間ではない怪物に追われている
頭に二つの角を生やしその魔物の様な形相に手には長い爪おまけにその長い爪には血が滴り落ちている。
何で俺達が狙われてるかって?
そりゃ見ちまったんだよ偶然…
あの怪物が楽しそうに人を何回も何回も刺してそりゃ生々しく刺さる音が聞こえて
人が死んだかと思えば人を喰いはじめて
肉のちぎれる音
骨が噛み砕かれる音
地面には大量の血
鼻を突き刺す様な生臭い鉄の匂い…
そんなのを目の前で見て普通の人間が正常でいられるだろうか?
イヤ…絶対に無理だ。
そんなの目の前で見たら頭が狂う。
絶対に夢の中に現れるよ。
下手すればトラウマになる。
その光景を俺の隣で見ていた優梨は嘔吐した。
それに気付いた怪物がゆっくり口元からニヤケ出した。
俺は体が勝手にイヤ人間の本能で察した
゛逃げないと殺される゛
そして、怪物はゆっくりと少しずつ俺達に近付いてきた。
まるでその目は新しい玩具を見付けた無邪気な子供の様に…
そして俺は優梨の手を取り走り出した。
走っても走っても怪物は追い掛けてくる。
しばらくして何処かのビルの路地裏に身を潜める事にした
もうどれくらい走ったのだろうか…
極度の緊張で俺もかなり疲労している。
優梨もかなり息が上がっている。
優梨の意識は恐怖感でいっぱいの為か顔色も悪い。
俺はそっと包み込む様に優梨を抱きしめた。
「優梨…大丈夫だよ。俺がいるから絶対に優梨だけは死んでも守るよ。約束する。」
少し安心したのか優梨はゆっくり口を開いた。
「ありがとう大翔…いつもあたし大翔に守られてばかりだね」
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