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俺は優菜の目の下をよく見て涙ボクロを確認した。
確かに優梨の双子の妹の優菜だ。
俺には分かる。優梨と優菜とは昔からの幼馴染みだ。
優梨と優菜は一卵性の双子の姉妹だ。
優梨と優菜はかなり似ている。
そして唯一見分けがつくのが右目の下にある涙ボクロだ。
姉の優梨には無くて、妹の優菜にはある。
そして、昔からの幼馴染みの俺と優梨は成長していくにつれてお互いに意識するようになった。
そして、最初に恋心に目覚めたのは優梨の方。
俺は少し後になってから恋心に目覚めた。
そして優菜はその二人の恋を応援した。
そして、俺が優梨の気持ちに気付き晴れて付き合う事に…
幸せの絶頂だった。
まさかこんな事になるなんて、知るよしもなかった。
そして、俺は今、目の前にいるのが優梨じゃなく優菜なら優梨は何処に?…
「優菜…優梨は今、何処に?…」
沈黙が続く…
それは重くて息が詰まりそうな息苦しい雰囲気だ。
優菜の口から開いた。
「……ちゃ…しん……たの……う……いの…」
「え?」
俺は優菜の言葉が聞き取れず聞き返した。
「お姉…ちゃ…んは…死んじゃ…って…もう…いないの…」
俺は耳を疑った。
゛お姉ちゃんは死んじゃって、もういない…゛
優梨が死んだ…
あの出来事は現実だったのか…
俺は優梨を守れなかった…
俺が弱いせいで…
そう下を俯き落胆していると優菜がまた話し始める。
「大翔……お姉ちゃんはね…打ち所も悪いし出血も多いって…お医者さんが言ってたの…」
俺が守れなかったせいで優梨が死んだ…
俺が弱いから優梨が死んだ…
そして、病室のドアの外からノックが聞こえた。
入ってきたのは優梨と優菜のお父さんとお母さんだ。
「大翔君!気が付いたかね!」
「ひろ君!大丈夫?」
おじさんとおばさんは俺の事を気にかけてくれた。
だが今の俺には申し訳なさでいっぱいだ
「おじさん…おばさん…優梨を守れなくて本当に、本当にすいませんでした…」
俺は深々と頭を下げた。
「何を言うんだ大翔君…君はこんな怪我をしてまで優梨の事を守ってくれたんだろ?」
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