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みんなが帰った後…
俺は重い体に鞭を打ち病院の屋上へと向かった。
階段を一段。
また一段と上がりながら行った。
まだ腹の傷が痛む。
俺は腹を手で抑えながら階段を一段。
また一段と上りやっと屋上に着いた。
屋上の外を見た。
辺りはマンションやら住宅街。
そして所々に森林がある。
そして全てを包み込む様な茜色をした夕焼けの空。
空にはちらほらと星も出てきた。
その景色を優梨と一緒に見たかったな…
でも…もう優梨はいないんだよ…
もうこの手で優梨を抱く事も出来ない。
一緒に笑い合ったりも出来ない。
ずっとこのまま二人でいる事も出来ない。
突然過ぎる…
優梨は何も悪い事はしていない。
むしろ生きているのは俺じゃなくて優梨のはずだ…
優梨…もし俺が死んで優梨が生きてたなら、優梨ならすぐに良い彼氏が見付かるさ。きっと…
でも…でも俺は…俺は優梨じゃなきゃ…優梨じゃなきゃダメなんだよ……
「優梨っーーー!!!…うっ…うわああぁぁーー!!…うぅっ…優梨…俺が…優梨を死なせたんだーー!…優梨…」
俺はこの日…初めて大事なものを失う辛さを知った。
大事な人を守れなかった自分の弱さ…
失ってしまった悲しみ…
1人になってしまった孤独…
全ての感情に溢れてくる涙。
そして決心した。
゛絶対二復讐シテヤル゛
それが俺の人生を大きく変わる瞬間だった。
そして連日に渡って警察署の刑事さんが、あの事件について聞いてきた。
でも俺の答えは決まっていた。
「暗かったのでよく見えませんでした。」
別に嘘はついてない。
それに人間でもないあの怪物の話しをしたところで警察は信じないと思ったので、あえて話さなかった。
刑事さんも困った様な顔をしつつも立ち上がり踵を返す。
「わかった。また何か思い出したら私に言って下さい。」
そう言うしかなかった刑事さん。
しばらくして俺は退院し、自宅から優菜の家に移るために引っ越しの準備始めた。
途中からおじさんとおばさんも来てくれたので
元々荷物が少ないのですぐに終わった。
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