電車の子

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―――なんだあれ…   俺は笑いを堪えながら見ていた。  急に携帯をいじったり、鞄をゴソゴソしたり、キョロキョロしたり  あの挙動不審ぶりは、―――笑える、入学式に緊張しているのか?  妙にソワソワしてしているその姿が可愛いくて、面白くて電車が来るまで目を離せなかった。  名前も知らないし、1学年が5つあるし、―――見つけ出すのは大変だ。  1クラスずつ駆けずり回るのもいい、―――でも、そんなガッツく男は引かれるかもしれない。  俺はひとまず“電車の子”と名付けた。  あの駅にいたならまた会えるかもしれない… 今日と同じ時間にまた、―――って、俺はストーカーかっ!!!!!  最早、俺は“電車の子”に恋をしていた。
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