マニアックス 夏休み

90/98
前へ
/1076ページ
次へ
最近…と言うより 夏休みに入ってから ずっと キリと一緒に居たせいか 自分は どこか おかしくなっている。 特に キリの肌とか身体の線とかを目の当たりにするとドキドキして変な気分になる。 風呂上がりとか目のやり場に困る位なのだ。 基本的に キリは 美人だし身体も白くて細いしでも肉付きも程よくて彫刻の芸術品みたいで…清らかなのに どこか 艶めいていてー 触りたい…と 思ってしまう。 白くて長い指に 触れられてみたいとかー シュンは ブンブンと頭を振った。 間違いなく 自分は キリに対して欲情している。 そう 気付いたから さりげなくだけれど 精一杯 自分なりに アピールしてみたのだが キリは 全く手を出して来ないのだ。 我慢しているのか…? もう 自分を相手に 出来ない程 熱が冷めてしまったのか…。 やたら 自宅に帰りたがるのも もしかしたら もう自分を好きじゃ無いのかもしれない。 考えても 考えても悪い方向にばかり行ってしまう。 けれど こんな事 話し合うような事でも無いし…。 自分から 『抱いて…』なんて とてもじゃないが 言えないし… 多分 言ったら その場で恥ずかし過ぎて死ぬ。 シュンは 再び 頭をブンブンと 横に振り己の煩悩を 撒き散らした。 下へ 降りていく。 今朝は 母親は 早くから外出している。 毎週 火曜日には 決まって 父親の職場に足を運ぶ。 弁当やら 着替えやらを持って行くだけなのだが ちゃっかり職場でデートしているのだ。 「あれ?今日 火曜日か」 キリが テーブルに着きながら ひとり呟いている。 1ヶ月以上 生活していれば 秋庭家の習慣にも慣れてしまうのだろう。 「明後日から 2学期だね」 今度は シュンに話し掛けてきた。 「パン 焼きたてだから」 敢えて シュンは その話題に触れずに キリに食事を促す。
/1076ページ

最初のコメントを投稿しよう!

258人が本棚に入れています
本棚に追加