マニアックス 夏休み

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どうせ 2学期からは 自宅に戻るからとか言うに決まっている。 正直 キリを自宅に戻したく無い。 ヒカルは 2学期から登校してくるのだ。 ヒカルから キリを護る為には 秋庭家に居た方が安全なのだ。 「いただきます」 キリが 嬉しそうにパンを口に入れた。 チラっと 見えた キリの舌にドキリとする。 あの時のキスを思い出し顔が熱くなる。 「シュン?」 名前を呼ばれただけで 心臓が跳ね上がる。 「な…なに?」 (よこしま)な考えを 見透かされているようで何だか恥ずかしい。 「暑いなら クーラーの温度下げてもいいよ?」 夏で良かった。 「うん…。少し下げる」 シュンは リモコンを(かざ)して 2度程 温度を下げた。 途端に 冷たい空気が ヒンヤリと凪いできて気持ちが良い。 「料理すると暑いよね?火の側に居るからさ」 キリの言葉に シュンは うん…と 頷いた。 キリは どうして何もしてこないのだろう? 前は もう少し積極的に キスしてきたり 抱きしめてくれたり 髪を弄ったり もっと 触れていてくれたのに…。 あの海水浴の辺りから 無くなった気がする。 俺は 頑張ったら、キス以上の事をしても良いと言ったのに。 キリは 頑張ったんだ。 あんなに 危ない目に合ってまで 頑張ってくれたのにー だから きっと 流れで行けば夏休み中には、そんな風になるんだろうと思ってたのにー 覚悟だって 決めてた。 一応 一通りの経緯は知っている。 経験値が 無いだけで。 だからー 乱暴にキスされたあの時 きっと そうなると思ったのに…。 夕飯前だったから…失敗した。
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