マニアックス 夏休み

92/98

256人が本棚に入れています
本棚に追加
/1076ページ
その前後だって かなり アピールしたし…。 なのに キリは ノってきてくれない。 そして 何故か それきり俺に触れようとしない。 どうしたら 良いのか ここまで くると分からなくなる。 ただ キリと 恋人ごっこみたいな関係にだけは なりたくない。 ずっと 俺は コイツのちゃんとした恋人で いたいんだ。 は…恥ずかしいけど。 「キリ…あのさ。2学期からも 俺ん家から 学校に通えよ」 母さんからも 承諾は得ている。 「シュン…ごめん…。俺は もう自宅に帰るよ。学校に行く準備もしたいし…。シュンと一緒に居たいけど そこまで甘えるのも良くないと思うし。シュンだって 俺の立場に立てば分かると思うよ」 キリの立場…。 そうか…正直 考えた事も無かった。 キリは いつでも 俺の良いようにしてくれたし何でも 言うことを聞いてくれてた。 キリの立場を 自分に置き換えたら 確かに甘えてるみたいで嫌だ…と思う。 俺の配慮が足りないから キリは帰りたがったのか。 なのに 俺は淫らな事ばっかり考えてしまって…。 反省しなきゃだな。 「ごめん…。お前の立場とか俺…気付かなくて…。分かった。2学期からは また朝は迎えに来いよな。それから荷物とかも俺 運ぶの手伝うし…」 そう言ってる側から 胸が苦しくなる。 まるで 永遠の別れみたいな気がしてきて悲しくなってきた。 「シュン…。ありがとう」 キリが ニコッと笑った。 その笑顔から 視線を逸らす。 だって…酷く残酷に見えたからー 「荷物 今日 運ぶ?」 痛む心を必死に隠しながら普段通りを装いキリに尋ねた。 「うん…。早い方が いいかな」 キリの答えに 更に痛みが(えぐ)られた。
/1076ページ

最初のコメントを投稿しよう!

256人が本棚に入れています
本棚に追加