マニアックス 夏休み

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「…じゃあ これ 片付けたら行こう。キリは荷物まとめといて」 精一杯に 笑顔を作り シュンは食器を片付けていく。 キリは ご馳走様でした…と 言って 立ち上がり 2階へと上がっていった。 男に二言は 無い。 帰っていいと言ってしまった以上 (くつがえ)す事は出来ない。 本当は ずっと 一緒に居たいけれど… って いうか…俺は いつの間に キリの事をこんなに好きになっていたのだろう? 好きだと 自覚してから どんどん引き込まれていくように好きになっていく。 ここまで ヤツに執着するようになったのは 水泳大会で ヤツが 海から 上がって来なかった件があったからだ。 しかも 気付いた時点で 俺が助けようとしたのにガメコに先を越された。 しかも!あのオカマっ!人口呼吸しようとしやがって! もちろん そんな事は 断固 させなかったがー でも…全ての発端は自分にある。 俺が 無理矢理 泳がせたからー キリは ケロッとしてるけど 俺は怖くて仕方なかった。 いつもの白い肌が更に青白くてー キリが死んだらって 考えると恐怖に身体が震えた。 あんな思いは、二度としたくないー だから キリを自分だけに縛り付けてもいけないってー 分かってるんだけどー 彼を好き過ぎて 自分は気が狂ったのかもしれない。 「シュン。支度出来たよ」 わざと ゆっくりと片付けていたシュンは 思わず早っ!と声に漏らしてしまった。 キリが まとめた荷物は 大した量は無く紙袋が2つ程だった。 もう少し 沢山あれば 一緒に行く口実を作れたのに 一人で 持てると言われたら それまでだ。 でもー 無理矢理にでも 着いて行くけれど…。
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