マニアックス 夏休み

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俺が 帰ったら…掃除するのか。 キリにしたら大した意味合いは無いのだろうが、シュンの心にはズッシリと重くのしかかる。 「そ、掃除くらいなら手伝うけど?」 そう言うと キリは 頭を横に振った。 「そこまで シュンに させられないよ。それ 飲んだら 帰って良いよ。荷物 運んでくれて ありがとう」 これ 飲んだら 帰れって…。 このまま何も無く帰れるか! 「い…いやだ」 シュンは 小さく呟く。 「シュン?何?」 キリに 聞き返されて シュンの思考が爆発した。 「いやだって 言ったんだよ!掃除 くらいやってやる!俺をナメんなよ!」 はあはあ…と 肩で息をしながら シュンは 一気に叫んだ。 割と意味不明な事を口走ってしまったけれどー 「シュン…?何 怒ってるの?俺 何かした?」 「したさ!したともさ!なんでっ!!」 悔しいのか 歯痒いのか 訳が分からなくて 涙がポロポロと溢れてくる。 「シュン…落ち着いて…ね?俺 ちゃんと聞くからさ」 キリは こんな時でも優しいー ある意味 自分なんかより ずっと 大人のような気がする。 「だって 聞いたって お前は ろくに答えないだろっ」 グズグズと 涙声で反論する。 「ちゃんと 答えるよ」 その言葉に 少しだけ気分が晴れた。 「じゃあ 聞くけど なんで 自宅に帰りたがったんだよ。お、俺と一緒に 居るの そんなに嫌だったのか?」 恥ずかしついでに 聞ける事はこの際、なんでも聞いてやる。 「それは…そのさ…」 「ほらな…そうやって ごまかすだろ?」 結局 俺が嫌なんだって言いづらいだけの話だろ。
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