マニアックス 夏休み

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「でも…じゃあ何で あれから俺に さ…触らなかったんだよ。散々 ベタベタしたくせに」 「シュンって…ホントに可愛いよね」 キリが ニコニコ笑っている。 「はっ?んな言葉で ごまかすなよな。マジで 人の気も知らないで!」 「うん…ごめんね。でも その人の気も知らないでって 言葉は そっくり そのまま シュンに返すよ」 ううっ…!ムカつく! 散々 人をグルグル悩ませといて ニコニコ笑って可愛いなどと ほざきやがって! 「シュンに触らないようにしてたのは さっきと同じ理由だよ。だって 触るだけじゃ治まらなくなるからね。それに一度 乱暴にキスしちゃった時 シュンが嫌そうな顔をしたから…。シュンは 嫌なんだよね?」 キリの言葉に 顔が一気に熱くなった。 「ち…違う。あの時は…。その…」 しどろもどろで答えていると キリが クスっと悪戯に笑った。 「ごまかすの?」 そう言われて カチンときた。 「ご、ごまかすもんか!あの時は…あ、あんな…あんなキ、キスしといて それだけで 終ったから…タ…タイミング悪かったし…でも 何か腑に落ちない感じで ずっと モヤモヤしてたんだ」 「じゃあ シュンは その先を期待してたんだ?」 フッと キリに笑い掛けられた途端 羞恥心が ぶわわわっと 沸き上がってきた。 「そ…そう…みたい」 小さく 呟き俯いた。 消えてしまいたいくらいに恥ずかしい。 「シュン…今日 泊まって行きなよ。ねっ?」 泊まりって…どう考えてもー 「で…でも…」 いざとなると逃げたくもなる。 「だって シュンは 俺と 一緒に居たいんだよね?」 図星を指摘されて ヒンヤリと冷たい汗が流れてきた。 まさか バレバレだったのか? つか…もしかして…コイツ 分かってて わざと? 「シュン お風呂一緒に入ろうね。洗ってあげるから。ねっ?」 ニコニコと嬉しそうな笑顔に つられて シュンは 思わず頷いていた。 ハッ!と 気付いた時には 既に ヤツの思惑通りになっていた。 秋庭 シュン。16歳ー いよいよ 大人の階段が 目の前に現れたー
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