マニアックス 二学期

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ヒカルは 自分の身体を 抱きしめるように ふさぎ込むと 反対側から声をかけられた。 「ヒカル?おはよー。そんなトコで どうしたんだ?具合悪いのか?」 久しぶりに聞く懐かしい声に ヒカルの硬直した身体が解けていく。 「シュン…ちゃん」 こんなタイミングで 現れるなんて やっぱり シュンちゃんは最高だ! 「大丈夫か?具合 悪いなら 保健室 連れてくけど?」 ふさぎ込んでいたヒカルは ゆっくりと立ち上がる。 「シュンちゃん。おはよう。具合が 悪いわけじゃないんだけど…ちょっと 緊張しちゃって…」 緊張したと言っても 自分をよく知るシュンちゃんには ガラじゃないよな…と笑われてしまうかもしれない。 少し話し過ぎたと後悔していると シュンは 別に笑うことも無く手を差し出した。 「そうだよな…ヒカルは 今日から 初登校だもんな。大丈夫だよ 一緒に行こう」 「シュン…ちゃん」 ヒカルは 差し出された手を取っていいのか戸惑う。 ご主人様以外に 触れてはダメだと決めているからだ。 それに シュンちゃんにだって 森下 キリという恋人が居るのだからー 「シュンちゃん ありがとう。大丈夫 一人でちゃんと歩けるから…」 やんわりと自然に シュンの手を拒んだ。 シュンは そっか…と笑いながら手を引っ込めた。 「シュンちゃん。あのさ…今まで ごめんね…。ずっと シュンちゃんに謝りたくて…僕 シュンちゃんの友達に 意地悪したから…」 校門をくぐり抜けながら ヒカルは シュンに過去の事を謝罪した。 「だから…森下くんの事も僕は心から応援しているよ」 「えっ?ヒカル やっぱり 知ってたの?」 シュンは かなり動揺したらしい。 「知ってるに決まってるよ。だって シュンちゃんは 有名人なんだし…アイドルでしょ?」 ヒカルが ニコッと笑うと シュンは 照れ臭そうに ぽつりと呟いた。
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