マニアックス 二学期

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「俺 嬉しいかも…ヒカルが 認めてくれたの」 シュンの言葉に ヒカルの中に溜まっていた固まりが すうっと 消えて行くようだ。 良かった…。 これからは 良い友達として シュンとの関係が構築された気がした。 「所で 例の森下くんは?」 ヒカルが 尋ねると シュンは急に顔を真っ赤にして ボソボソと答えた。 「ヤ…ヤツなら もう教室に居るよ」 「そうなんだ?珍しい!シュンちゃんが寝坊したの…?」 ヒカルが人差し指を顎に当てながら シュンとの過去を振り返っていると シュンは 更に動揺していた。 「うん…そう…寝坊した」 シュンは どこか歯切れの悪い返事だ。 「シュンちゃん?森下くんと喧嘩した?」 この様子は 多分 そうだろうと ヒカルは直感した。 「け、喧嘩ってほどじゃないんだけど…。ただ ヤツの顔を見るのが嫌なだけで…」 「嫌なの?」 「い、嫌じゃないんだけど…。その…さ。何か、気まずいって言うか…」 ははーん…。 これは 何か進展があったとみた! つか 森下くんて綺麗な顔して案外やり手なんだな。 「シュンちゃん…大丈夫だよ。そんなの一時的なものだからさ」 「そうかな?」 「そうだよ。僕もね 今 恋人じゃないけど 大切な人が居るんだ」 あまり綾人との事は 話したくは無いが シュンなら 信頼出来るし尚且つシュンが安心するだろう。 「えっーと…ヒカルの大切な人って…男?」 「当たり前だよ~。僕は その人の事を すごく 尊敬しているし 崇拝しているし それにー」 大好きなんだー と最後の言葉は 心の中で呟いた。 愛の言葉は 人様に聞かせるものでは無いからだ。
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