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俺は 秋庭 シュン…16歳だ。
名門進学校である 白凰高校に通っている。
学校は 進学校では あるけれど スポーツ校としても有名で 俺は 入学を決めた。
体型的に 身長も低いし 細くって 男子にしては か弱い印象だ。
その か弱い印象を払拭するべく 男らしい スポーツをやりたかったのだけれど―
白凰高校は男子校で…つまり その…。
部活に入ろうと張り切っていたのだけれど―
新入部員は 先輩に喰われると 話を聞き 泣く泣く諦めたのだ。
仕方なく 今は 空手道場に毎日、通っている。
取り敢えずの目標は 男らしくなる事だ!
そして ホモにならない。
この二つは 学校を卒業するまでは 絶対に死守するのだ!
俺は 学校の下駄箱の前で ガッツポーズを決めた。
まだ 他の生徒たちが 登校する前に 俺は 誰よりも早く登校する。
まず 朝一にしなければならない事が あるからだ。
ガッツポーズを決めたまま自分の下駄箱を見つめ そのまま下駄箱の上に並ぶ段ボールを見上げた。
「秋庭くん、おはよう…。おじさん また負けたな~」
下駄箱の前で 話し掛けてきたのは 用務員のおじさんだ。
「用務員さん。おはようございます」
いつもと 変わらない 朝の風景だ。
「どれどれ 今日も さっさと 片付けるか…」
用務員のおじさんは 腕まくりをしながら 下駄箱の上に置かれている段ボールを降ろし始めた。
「いつも すみません」
シュンが ペコリと お辞儀をすると 用務員のおじさんは 良いから…良いから…と 作業を続けた。
シュンは はあ…と ため息を付きながら 下駄箱を開けると バサバサーと 手紙の束が 足元に 小さな山を作った。
「しかし…すごい人気だね~。もしも 秋庭くんが 芸能界に入ったら おじさん…娘に自慢しちゃうよ~」
「芸能界なんて 無理ですよ…」
絶対に 嫌だ!冗談じゃない!
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