マニアックス 一学期

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足元に出来た手紙の山は もちろん ラブレターで下駄箱の上にある数箱の段ボールも 全て 自分に宛てられたラブレターとプレゼントなのだ。 しかも 差出人は全て男…。 そう この高校に通う者 全てが秋庭 シュンの熱狂的ファンばかりなのだ。 そして…ホモばかり― 唯一 ノーマルなのがこの用務員のおじさんのみだ。 シュンにとって この時間は1番 普通で居られる大切な時なのだ。 「おじさんは秋庭くんも可愛くて好きなんだけどね~。でもごめんね~?美人な男の子が大好きなんだよ。あのクール何とかってヤツ?あっ…校長代理には内緒だよ。秋庭くんだから言ったんだからね…」 前言撤回!完全ホモじゃねぇーか! お前 さっき 娘が どうとか 言ってたなかったか? くそっ! 最早 この学校でノーマルは俺だけじゃんか。 つうか…今まで「用務員さん」って呼んできて損した。 お前は明日から「ホモ爺」決定な。 ラブレターとプレゼントを サクサクと捨てて一応 用務員のホモおじさんに礼をしてシュンは さっさと教室に向かった。 まだ 誰も居ない教室は ガランとしていて寂しいような清々しいような そんな雰囲気が好きだ。 シュンは この時間を勉強する時間にしている。 最初は ここまで していなかったが 入学式翌日に普通に登校したら大変な事になり三日目から少しずつ早く登校し今の時間帯に落ち着いたのだ。 教室の窓から校庭を見下ろした。 パラパラと生徒たちが登校してくる。 見た目はノーマルなのに…本当、残念だな…と思う。 今日もいつもと変わらない一日が始まる。 秋庭 シュン 16歳 彼は 男子校の…男子校による男子校の為のアイドルなのだ。
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