机の下の

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倉庫代わりにしているこの部屋に窓は一つで、厚手のカーテンにおおわれている。 薄暗く、埃っぽいその隅で、あたしは広げた新聞紙を盾にして無理やり視界を遮った。 目の前に見えるのは、昭和の頃のニュース。 いつのかを考える余裕はないけど内閣がどうとか、文字が踊る。 色の褪せた写真は、足りない明るさと茶かった紙の焼けもありぼんやりして元の形は拾えなかった。 そんな写真や文字から、部屋に充満しているものとは少し感じが違う紙やインクの香りがした。
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