机の下の

ここしばらく、家で、近くに人が居ない事に少々慣れ過ぎていて声を出さなくなっていたけれど、声に出して耳で聞く、のはあんがい気を落ち着かせるのに効果があるとあたしは思う。
まあ時によっては、逆の場合もあるけどね。
「ちょっとあなた！」
よれた新聞紙からひょこりと顔を覗かせる彼は、
「あなた何者？」
あたしのぶつける質問に小さな目を丸くして、自分でも変な体勢をしてると自覚しているあたしをじっと見た。